特定技能技術・人文知識・国際業務企業内転勤経営・管理介護技能実習技能

特定技能

特定技能は、国内の人材を確保するのが困難な状況にある特定の産業分野において、一定の技能や専門性を有する外国人を受け入れて国内の労働力不足を補うためにつくられた在留資格です。特定技能の対象となる産業分野は以下の12種類です。(令和5年1月現在)

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気情報関連産業
  • 建設・造船・船用工業・自動車整備・航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業・飲食料品製造業・外食業

特定技能には1号と2号があり、特定技能1号修了者が試験に合格すると特定技能2号へと移行できる仕組みになっていて、特定技能1号の在留資格は通算で5年となっています。技能実習の在留資格と同様、家族の帯同は認められません。特定技能外国人を雇用したい企業は、技能実習生から変更する場合を除き、直接採用活動をするか、国内外の職業紹介機関を活用して採用活動を行うことになります。

また、特定技能制度の特徴の一つとして、特定技能外国人を雇用する企業は、当該外国人が日本で生活するための各種支援を実施する義務あります。「特定技能の活動を円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し、当該計画に基づいて支援を行わなければなりません。支援が自社でできない場合は、「登録支援機関」という特定技能外国人の支援を行う機関と委託契約を結ぶ必要性が生じます。

特定技能外国人の雇用までの流れ

  1. 外国人が特定技能の試験に合格又は技能実習2号修了
  2. 外国人と雇用契約の締結
  3. 特定技能外国人支援計画の策定
  4. 在留資格変更許可申請
  5. 許可後就労開始
  1. 外国人と雇用契約の締結
  2. 特定技能外国人の支援計画の策定
  3. 在留資格変更許可申請
  4. 許可後就労開始

雇用主が変わるため、特定技能外国人のパスポートに添付されている指定書に記載されている産業分野と受入れ企業の産業分野が合致していても、在留資格変更許可申請が必須となります。

  1. 外国人が特定技能の試験に合格又は技能実習2号修了
  2. 外国人と雇用契約の締結
  3. 特定技能外国人の支援計画の策定
  4. 在留資格認定証明書交付申請
  5. 外国にある日本大使館で査証申請
  6. 査証受領
  7. 入国
  8. 就労開始

外国の送り出し機関(人材あっせん会社等)と連携して手続きを行うことになります。

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)は、いわゆる「就労ビザ」の中の1つの在留資格です。範囲が広く、様々な業種の会社が、この在留資格で外国人を雇用しています。代表的なものとしては、IT系や機械系のエンジニアや、専門知識を活かしたホワイトカラーの職種、海外取引や通訳翻訳の国際業務に従事する人などが当てはまります。

基本的には、大学(短期大学含む)や専門学校を卒業して、その専門知識を活かせる業務に付いた場合に申請できる在留資格の種類となります。例えば、留学生が就職活動をして、就業先の企業が見つかった場合などに、外国人が企業と雇用契約等を結んだ上で、入国在留管理局に上記の在留資格への変更等の申請を行います。

これらを審査機関である出入国在留管理庁が総合的に審査して申請結果を下します。審査は、書面審査であるため、提出書類で上記が明確でない場合、突然「不許可」の結果がとなることも決して少なくありません。

ポイントしては、

  • 外国人と企業の労働契約の内容
  • 従事する業務の内容
  • 外国人本人のバックグランドや在留状況
  • 他法令の順守
  • 受入れ企業の規模、安定性や継続性

私たち行政書士は、外国人と受け入れ企業との調整を行い、書類の準備を整え、要件を満たしていることを書面にまとめ、代わりに出入国在留管理庁に申請書類を提出します。在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就業可能な職種の具体例としては、ITエンジニア、機械系エンジニア、人事労務管理、営業、マーケティング、商品開発、広報宣伝、翻訳・通訳、語学教師、貿易業務、海外取引業務、その他マネジメント業務などが挙げられます。

企業内転勤

企業内転勤の在留資格は、転勤や人事異動で来日する外国人が対象となります。例えば、日本法人の海外支店から日本にある本社に転勤するケースや、海外にある子会社から日本の親会社に出向するケース、関連会社間の転勤など広く想定しています。

企業内転勤の在留資格で従事可能な業務内容は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で認められているものと重複しますので、いわゆる単純作業に従事することはできません。しかし「技術・人文知識・国際業務」の在留資格と異なり、学歴や実務経験の要件はありません。また、企業内転勤の在留資格申請時において、直近1年の間、外国にある本社や支社に勤務していることが条件となります。

経営・管理

経営・管理は、事業の経営や管理等を行う在留資格です。外国人が自ら会社を設立して経営を行う場合や、比較的規模の大きい会社の事業部長や工場長に就く場合が想定されます。ただし、自ら会社を経営する場合は、出資額が500万円以上であることや事業所の確保が要件となっており、なおかつ事業の継続性と安定性を示す事業計画が必要となっていきます。

介護

2017年に創設された在留資格で介護福祉士の資格をもっている外国人が対象となります。前述の在留資格「特定技能」では、介護の分野においては、特定技能1号のみが存在特定技能2号は存在しないため、介護施設で介護の仕事に従事する特定技能1号(介護)の外国人は、在留する5年の間に介護士の資格を取得して「特定技能1号(介護)」から「介護」への在留資格変更を目指すパターンが増加すると考えられます。

技能実習(令和5年12月現在)

外国人技能実習制度は、日本が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展の担う「人づくり」に協力することを目的として創設されました。実習生は、来日後、日本語や日本法令の講習を受講した後、受入れ企業に配属され、研修・実習を通じて技能や技術を学びます。

技能を習得するために技能実習生にも日本人労働者と同様に労働関係法令が適用されますので、最低賃金法の適用対象であり、また労働基準法に基づき受入の企業には残業代などの割増賃金の支払いや有給休暇を与える義務が生じます。海外での技能実習生の募集や受入れの調整、各種手続きは、技能実習監理団体という非営利の団体が行います。

当法人では、外国人材のあっせんを目的とした事業協同組合の立ち上げや外国人技能実習監理団体の許可申請の業務も承っております。なお、令和5年12月現在において、技能実習と、特定技能の両制度の見直しが検討され、約30年続いてきた技能実習を事実上廃止、それに代わる新制度「育成就労」を創設して「人材確保」と「人材育成」を目的とし、未熟練の外国人を労働者として受入れ育成する方向性を示しています。

技能

熟練した技能を要する業務に従事するものに与えられる在留資格です。この在留資格を付与されるためには、外国人のもつ特殊な技能について、10年の実務経験を証明する必要があります。「技能」の在留資格は、具体的には、各国料理人(中華料理、タイ料理、インド料理、スペイン料理などのコック)や、ソムリエ、飛行機パイロット、スポーツトレーナーなどが該当します。

日本人の配偶者等永住者定住者

日本人の配偶者等

日本人の配偶者だけではなく、日本人の特別養子や日本人の子として生まれた者もこの在留資格に該当します。国際結婚をした場合、婚姻届を提出するだけでは、外国人が適法に日本に居住することは出来ません。「日本人の配偶者等」という在留資格の申請をして、在留資格が得られた場合にはじめて合法的に日本に住むことが認められるのです。その結婚が偽装結婚に当たらないか、夫婦一緒に日本で生活してくための資力があるかどうかなどが審査されます。日本人の配偶者等の在留資格を有している人は、就労に関する制限がありません。よって、業種、職種、労働時間などにおいて、日本人と同じように自由に仕事を選べることができます。

永住者

永住許可を受けた外国人は、「永住者」の在留資格により日本に生活基盤をおいて無期限に在留することが認められ、在留資格の更新手続きの必要もなくなります。また、就労に関する制限もありませんので、日本人と同様に好きな仕事に就くことができます。日本の法令を守って生活していること、資産や技能の面から見て将来にわたって安定した生活が見込まれること、永住が日本の利益になると認められることの3つが条件で、原則10年間の在留が必須となっております。ただし、特例として、日本人の配偶者や定住者等に該当する場合は10年間の在留がなくても永住申請が可能となる場合があります。

定住者

「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者を指します。例えば、日系人やその配偶者、日本人配偶者と離婚・死別した外国人、難民認定を受けた外国人などが該当します。「永住者」と同様「定住者」にも就労制限がありませんので、好きな仕事に就くことが可能です。ただし永住者と異なり、在留期間の制限がありますので、期間満了日が近づいたら在留期間更新許可申請を行わなければなりません。

留学家族滞在短期滞在特定活動

留学

日本の大学、専門学校、高等学校、中学校、小学校、日本語学校などで教育を受ける生徒は、在留資格「留学」に該当します。「留学」の在留資格では、就労することは認められていませんが、例外的にアルバイトをすることは可能です。ただし、入国在留管理局から「資格外活動許可」を得ている人に限り、また週28時間の範囲内でしか認められておりません。外国人が2つのアルバイトを掛け持ちしている場合は、特に注意が必要で、雇用主は自らが経営する事業では週28時間以内のアルバイトに収まっていると考えていても、その外国人が他のアルバイトを掛け持ちしている場合、労働時間は2箇所を「合計」して考えますので、週28時間を超え違法となってしまうことがあります。

家族滞在

就労系の在留資格で日本で働く外国人の配偶者及び子どもが日本で一緒に暮らすための在留資格となります。日本で就業する外国人の扶養能力が見られ、経済的に問題なしとされた場合に認められます。家族関係を証明するために、母国の婚姻証明書や親族関係証明書、出生証明書などを用います。家族滞在の在留資格を有する外国人は、「資格外活動の許可」を得て、週28時間以内のパート・アルバイトを行うことが可能です。

短期滞在

「短期滞在」の在留資格は、外国人が日本に観光、商用、親族訪問などの目的で短期間滞在する場合に発給され最大で90日の在留期間を指定されます。短期滞在の在留資格を付与されている外国人は中長期在留者には当たらず、在留カードは交付されません。また、その在留資格では、働いて収入を得ることはできません。

特定活動

法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動がこの在留資格に該当する活動となります。具体的には、入管法に規定されている特定活動(3種類)、告示特定活動(46種類)、告示外特定活動(3種類)の3つに大きく分類され、どの在留資格に当てはまらない活動を行う外国人に付与される在留資格といえます。